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■たった数日で! 性格まで変えた「博多伝説事件」

1997年9月。大学4年生の私(21歳)は、実家の広島県福山市内の会社で内定が決まり、あとは卒業を残すのみ。というわけで、近くのスーパーでアルバイトをすることにした。朝7時から学校が始まる前8時30分までの1時間半。早朝からの仕事ということで皆さんびっくりされるのだが、毎朝5時に起きている朝方人間の私にとっては非常に嬉しい仕事だ。
同じ学科で学籍番号が1つ前の砥板もこのスーパーでアルバイトを始めた。砥板は実家が地元福岡市内、このスーパーまでは10キロ以上も離れていたが、毎朝通っていた。
我々の仕事は、開店前の商品の陳列と賞味期限切れの確認、店内清掃などをするのが主な仕事。朝出しさんと呼ばれている部隊である。店の開店は9時。8時過ぎには正社員が入社し、半からは朝礼がスタートする。
正社員と朝出し部隊が顔を合わせる時間は8時頃から半までの約30分。

9月のある日のこと、陳列を終え掃除をしていると、正社員の吉田(20歳女性)がやってきた。
「今度、徳永くん家にご飯食べに行っていいかな?」と。吉田とはアルバイトに入った時からちょくちょく話をしていて私が料理を作ることや彼女がいないことを知っていた。『いいよ。食べにおいでよ。』
10月10日18時頃、吉田がゼンという女性(20歳)を連れて私のアパートにやってきた。私のアパートに女性が入るのは4年目にして初めてめてのことである。私は得意の料理でお出迎え。メニューは、鶏肉の煮物とサラダ、ごはんそして味噌汁の4品。若者だからパスタや肉をどどーんと出すべきだったのだろうが、シンプルな田舎の家庭料理、女の子達の表情はいまいちだった。
食事を終えた頃、吉田が言った。「砥板君を呼んでほしいんだけど・・・」私は砥板に連絡し、4人で西区の海岸へ。石を海に投げたり、趣味の話などをした。
翌日から、夜になると毎日のようにゼンや吉田から電話が鳴るようになった。23時から深夜2時に電話してくることが多く、早朝からの仕事は非常に辛かったのだが、アルバイトの話、学校の話、実家の話などをしていた。いろんな話をする中で2点気になることがあった。1点目は、毎回の電話の中に必ず砥板についての話が出てくること。吉田は砥板のことが好きなんだろうなぁと。吉田はややぽっちゃりした控えめな女性、直接好きだと言えないので私から伝えてもらう作戦だろう。もう1点は、私がゼンを好きになっていっているということ。ゼンはズバッと話をする女性、性格はちょっとキツイが、私の性格が控えめな為に理想としているタイプだ。私もまた好きとは言えず、彼女から連絡してきてくれるのを待つだけだった。

11月8日、事件は起きた。

(つづく)

【話の中で登場する人物や場所・日時などは実際のものです。状況により名前を伏せております。】

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